爆破連鎖 【酔いどれ刑事の事件簿 三】

第二章 説得

　
　その爆風が、客用のエレベーターホールに吹き込んだ。熱風や爆風で飛んできた破片で、負傷者が多数出ている模様。

　更に、従業員用エレベーター内に誰かいた様子。その人物の安否は、現在確認中である。

　続いて、五階の状況。

　客用の、男性トイレの個室で爆発。

　このフロアには、逃げ遅れた者はいなかった筈。ところが、爆発したトイレ内に人がいた。こちらも、安否が確認されているところ。

　更に、四階の状況。

　こちらは、チャペル前に置かれていた花に爆弾が仕込まれていた。

　たまたま配達に来ていた花屋の店員の一人が、爆風に巻き込まれて死亡。もう一人の店員は、離れた場所で作業しており何とか軽傷で済んだ。

　警部は、項垂れた。

　どうしても避けなければならなかった、被害者が出てしまった。多数の負傷者に、少なくとも死者が一名。死者に関しては、まだ出てくる可能性は低くない。