その二

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 何とか逃れようとして、恭次は頭を庇いながら上半身を起こそうとする。しかし石を投げ付けられて、のけ反るようにまた倒れてしまう。  全身を痛めつけられているのに、自然と頭と顔だけを庇っていた恭次は、両手首を掴まれて、自由を奪われた。  地べたに両腕を押さえ付けられ、恭次の顔が剥き出しになった。 「なあ康雄……康雄さん……。勘弁して下さい……」  その声は、まるで子供が駄々をこねているようでもある。  恭次の鼻先に、康雄の顔があった。 「もうへばっちまったんですか? まだこれからだっていうのに」  つまんねえな、という言葉を残して、康雄は暴行の手を止めた。そして、恭次の隣に座った。  他の男たちが散らばって行ったと思ったら、今度はシャベルを手にしてまた集まって来る。そして小高く盛り上がった場所を一斉に掘り始めたのだ。  何をしている……。まさか……。  恭次の身体が小刻みに震え始めた。 「そろそろいいんじゃねえか」  と康雄は言いながら、深く掘られた穴を覗き込んだ。恭次は腰が抜けたのか、動けずにいたはずなのに、いつの間にか穴の淵まで連れて来られ、シャベルが突き立てられた底の方を見ることになった。
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