プロローグ

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「決めた。 コレ…投げる!」 捨てる事が出来ずにずっとブレザーのポッケに入ってたリングを見つめて決意。 「歌にあるみたいに、銀のリングを捨てるのは細い指じゃないし、フラれたはあたしだけどね。 次の誰かに触れられるようになるには、コレは邪魔っけでしょ?」 3人ともが好きなバンドの歌に例えて笑顔で言ってみせた。 「いや、誰かに当たったらどぉすんの?!」 麻友の言葉が終わる前に、あたしは校舎別館の屋上に向かってお揃いのリングを投げ捨てた。 キーーン… 青い空に溶けて消えたリング。 地面にあたった音だけが向こうの建物から聞こえた。 バシッッ 「あいたッ!」 「バカ!ここ5階だよ?はずしたらどぉすんの?!」 「麻友ちゃん、そこじゃないでしょ」 今市がボソッとつっこむと、あたしの頭を軽くはたいた麻友は小さい体であたしを抱きしめた。 「捨てちゃって良かったの」 「うん」 「次はいい恋しよぉね」 「うん」 「くちばし出てるよ」 「鳥じゃないもん」 「授業サボろっか?」 「ダイジョブだよ。次はゆるいから本でも読んで過ごせるし。」 きっと捨てられないと思ってたリングは、案外あっさりブレザーのポッケから姿を消した。 さよなら。初めてのお揃い。 さよなら。初めての彼氏。
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