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 彼女のいわゆる不思議ちゃん発言に、僕はどう返せばいいのかわからなかったよ。  とりあえず、「そうか」とだけ呟いたら、彼女も「そうなんです」って答えてくれたね。  その後、彼女といろいろ話したんだけど、簡単にまとめると、彼女の言いたいことは『わたしを家に泊めてください』ってことだった。  寝泊まりする場所がないんだとか。  てっきりアパートに住んでいる誰かの知り合いかと思っていた僕は返事に困ったよ。  これはどうやら本当にわけありらしい、ってね。とはいってもたぶん家出とかなんだろうけども。  さて、僕としては女の子を部屋に泊めることに対して何も問題はないけど、それじゃあ泊めていいのかというと当然ながらそういうわけにもいかない。  親も心配しているだろうし、何よりアパートの誰かに見つかりでもしたら余計な噂がたちそうだ。 「悪いこと言わないから、早く家に帰りなよ。両親だって心配してるだろうし。……なんなら、送ってこうか?」 「……私、もう帰る家はないんです。それに家族も」  そのときの彼女の表情はまさにもの悲しげといった感じでね、これには僕も驚いたよ。  何より彼女の姿からは嘘というか、人に媚びようだとか、そういった俗っぽさが感じられなかったんだ。  おそらく、彼女には本当に帰る場所がないんだろうし、家族もいないんだろう。ぼんやりとながらも僕は「ごめん」と呟いたね。  今になって落ち着いて考えると、あのときの僕はどうかしていたとしか思えないよ。  いくら薄幸の少女に頼られたからといって、その言葉を頭から信じるのは危機管理がなっていないと言われてもしょうがない。
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