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「あー、水瀬?」 「…………なんだよ」  夏前のうんざりするような暑苦しさ。それにも関わらず俺は屋上で青空を仰いでいるわけだが、澄みきった雲一つない空を見つめていると、なんだかふざけたやつが話かけてきた。 「授業、出ないのか?」  それは催促の言葉。話かけてきた奴はどうも仕方なさそうに言葉を放っている。 「お前、『水瀬当番』か」 「あー、うん。だから、さっさと教室に戻ってくれると嬉しい」  『水瀬当番』とはなにか。そもそも水瀬というのは俺の名字である。  その名の通り、俺の当番。ろくに授業に出ない俺への教師たちの差し金だ。日替わりで当番が回る。 「やだね」  丁度、うとうとしかけてた所だ。昨日もあまり寝ていない。教室に行く理由はないだろう。
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