新しい出会い

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美佳は私を心配してくれて、時々私に電話やメールをくれた。 さっきも仕事中なのに、メールが来たばかりだった。 『倒れてない?』 体調を気づかうメールだった。 『大丈夫だよ。そんな弱くないから。』 そう返信したって、ストレスから心臓に負担がかかってしまっているので、心配されるのもムリはない。 本当は弱いところだってあるけど、「だからなんなのよ」って思うようにしている。 美佳があまりにも心配してくれるから、 『しばらくお酒は飲まないし、激しい運動はしないようにするよ。』 とメールを送った。 美佳もお昼休みの時間なのか、すぐに返信が来た。 『絶対だからね! 真夏ちゃんと美波ちゃんにチェックするから。』 美佳からのメールを読んで、 「はいはい。」 と独り言で返事をして、携帯電話をカバンにしまった。 駐車場の車のトランクを開けて、座った。 暑さは和らいで、周りの樹木は、ほんの少しだけ色づき始めていた。 会社の中でお弁当を食べるのは、なんとなく気が休まらなくて、あまり好きじゃない。 1人でボーッとする時間がほしいから。 「おまえ、やせたんじゃね?」 久しぶりに、高田が話しかけてきた。 高田に「キスしていい?」と言われて拒否してから、高田は私に近寄らなかった。 私も別に用があるわけじゃなかったから、私からは高田に近づかなかった。 会社で急に話さなくなったから、「おかしいな」と思っている人はいたと思う。 そうなったらイヤだから、普通に接してほしかったのに。 ・・・って、ムリか。 「やせたよ。」 「飯、食う量減ったな。」 高田が私のお弁当箱をのぞきながら言った。 「食欲出なくてさ。」 「おまえらしくないな。」 「まぁね。」 「男?」 「別に。」 高田の顔を見ないまま、私はお弁当を食べていた。 「じゃあ、俺にしとくか。」 「お断りします。」 高田が「じゃあ」と言った瞬間に言うことが分かってしまったので、高田の「俺にしとくか」と、私の「お断りします」という言葉がかぶった。 「そんな即答しなくてもいいだろ。」 「イヤだから言ってんの! 私は友達でいたいのよ。」 冗談でも、その口説きモードは勘弁してほしいよ。 ちょっと怒りながら、真剣な顔をして、私は高田の顔を見た。
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