新しい出会い

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「なんだよ、脈なしかよ。」 「言ってんでしょ。最初っから脈なんてないから。」 1人でボーッとしたい気もするけれど、かまってくれる人がいるのは、正直いってありがたいと思った。 「あのさ、聞きたいことがあるんだけど。」 高田に、ずーっと前から聞きたかったこと。 「なに?」 なんとなく言いづらかった。 「なんだよ、告白とか?」 「はい? 絶対に違うから!!」 すごく力強く言ってしまった。 「じゃあ、なんだよ。」 高田は笑いながら言った。 「高田は、どうして奥さんと結婚したの?」 「なんだよ、いきなり。」 ちょっと驚いた顔をして、高田は私の顔を見た。 「前から聞きたかったんだもん。聞きたかったけど、なんか聞きづらくて。」 「別にいいよ、聞いたって。」 「・・・どうして、12歳も上の人と結婚したの?」 「あぁ・・・それはな・・・」 少し言いづらそうだった。 言いづらいなら、別にいいけどって言おうとしたら、高田は話し始めた。 「おふくろって、めちゃめちゃ怖くてさ。肝っ玉母ちゃんみたいな感じで。怒られてばっかだったけど、本当は落ち着いて話したかったし、まぁ、甘えたかったのかな。」 「・・・そうなんだ。」 知ってる。 高田のお母さんがどんな人か。 高校時代、ちょっと有名だった。 高田が月曜日に体操着を家に忘れてしまった時。 連絡していないのに、自転車を猛ダッシュでこいで学校へ来たらしく、真っ赤な顔をして、息を切らしながら、お母さんは学校へやってきた。 高田と同じクラスだった私は、「誰?」と見ていたが、そのお母さんの言葉ですぐにわかった。 「毅!! おまえ、なんで忘れ物すんだよ! みっともねぇな!」 え? 高田のお母さん? クラス中、みんな見ていた。 「なんだよ、恥ずかしいだろ。来んなよ。」 高田の言った言葉に、お母さんは怒っていた。 身長が150cmくらいのお母さんは、180cmくらいある高田の頭をひっぱたきながら怒鳴った。 「なに言ってんだよ、忘れ物する方がよっぽど恥ずかしいだろ!」 ムスッとした顔の高田を、その時、初めて見た。 お母さんとのやりとりが、ちょっと面白かった。 授業参観の時は、必ず後ろのど真ん中で仁王立ちで見ていたし。 文化祭の時は、まだ準備が始まったばかりの朝一番からバザー会場の入り口に並んでいたし。
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