119人が本棚に入れています
本棚に追加
「12歳も年上だったから、嫁さんが焦っていたっていうのもあったけど、別に俺もそれでいいかなって。」
「そうなんだ・・・」
なんか、ショックだった。
好きで好きでしかたなくてっていう話が聞けると思っていたから。
それなら素直に結婚したことを祝福できたのにな。
「俺は高校卒業したばっかだったから、給料も安かったけど、嫁さんはキャリアウーマンみたいだったしな。」
「そっかぁ・・・」
なんて返していいか、わからなかった。
なんか、聞くだけムダな気がしてしまった。
高田は、お母さんが出て行ってしまって、心にぽっかりあいた穴を、12歳も年上の女性に癒してもらった。
そばにいてくれて、かいがいしく面倒を見てくれたその人は、自分から離れないように思えたのだろう。
そして、それが結婚へと結びついた。
おそらく、そういうことなんだろうな。
和人が、年上の人妻を選んでつきあうのも、こんな理由だったのだろうか。
「好きになるのに理由はない」という意見を時々耳にする。
でも、和人が選んでいるのは人妻だから、明らかに遊び目的なんだろうな。
というか、そういう性癖なんだろうね。
だんなさんに隠れて浮気している人妻を口説いたり、抱いたりすることに、興奮を感じるんだろうね。
そんな人もいるんだね、くらいに思うしかないか。
「なぁ、年下の男って、魅力あるのか?」
突然、高田にそう聞かれて、驚いてしまった。
「なんで?」
「いやぁ、おまえってさ、年下が好きなイメージあるから。」
あ~、そうだね。
つきあった人はほとんど年下だし、夫も年下だった。
「年下の魅力か~。」
とっさに聞かれると、出てこないもんだなぁ。
「若さがいいかなぁ。」
「若さ?」
「私、体力あるから、元気な人じゃなきゃイヤなのよ。」
「元気な人か~、体育会系なら、だいたい元気だろ?」
体育会系?
和人がまさしくそうですね。
「あと、結局年下だから、かわいくなっちゃって、なんかあっても許せちゃうとこかな。」
「おまえ、だから失敗すんだろ。」
「まぁ、そうかもしれないけどね。」
自分にちょっとイラついて、気がつかないうちに、私の頬が膨らんだ。
「かわいいか~。俺も、嫁さんにそう思われてたんだろうな。」
最初のコメントを投稿しよう!