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「確かにそうだけど・・・」
そこは、女の私と違うのね。
というか、関係を切ってもいいと思う私と、結婚生活を続けたいと思う高田の差なのかもしれない。
「奥さんの相手って、会社の同僚?」
「違うんだよ、それが。」
高田の顔が険しくなった。
聞かない方がよかったのかな。
「GardenっていうSNSサイトわかる?」
「わかるよ。私はやってないけど。」
「俺もやってねーよ。あいつ、いつの間にかそんなことしててさ。」
Gardenは、全国で200万人以上が登録しているSNSサイトのこと。
不倫を希望している人妻がごろごろいるらしいって、聞いたことあるなー。
実際に、和人とえいこさんも、それで知り合っているし。
「その男の写真、見る?」
「えー、なんか怖い。」
高田の奥さんを口説いた男、どんなヤツなんだろう。
「別にかっこいいわけでもねーよ。若いってくらいだな。」
携帯電話の画像の中から写真を探し出して、高田は私に写真を見せてくれた。
「こいつ。」
「え?」
そこに写っているのは、間違いなく、和人だった。
和人はもう、SNSサイト経由で、人妻と新しい出会いをしていた。
別れて、きれいさっぱり忘れたはずなのに、やっぱり好きだった人なだけに、ショックだった。
携帯電話の画面を見つめたまま、かたまっている私に、高田が言った。
「どうした?」
「ん? あぁ・・・取材したことある人かな~って。」
こんな姿を見せて、「なんでもない」って言うわけにいかないから、そう答えた。
「そうなのか?」
「うん、たぶん・・・」
「・・・こいつ、31だってよ。ばっかじゃねーの、俺の嫁さん、53だぜ。親みたいな年じゃねーかよ。なぁ。」
「そうだね。」
「しかも、俺の嫁さん、年齢2歳ごまかしててさ。」
「51って言っていたってこと?」
「そうなんだよ、どっちにしても50台じゃねーかよ。なぁ。」
笑ってしまった。
確かに、サバ読みたいんだったら、もっと大きくいけばいいのにって思った。
でも、きっとそれは会いたいから、会った時のギャップがありすぎるといけないから、2歳なんだろうね。
51歳の人妻で、Gardenの中で、和人に料理の話をしていた女がいたなー。
「高田は、メール見てないの?」
「見てねーよ、なんにも。」
「ちょっとだけ見てもいい?」
「いいよ、でも俺になにか言うなよ。俺は証拠として持ってるだけだから。」
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