恋する気持ち

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毎日、育児や家事に追われる私にとって、美佳とのランチは、本当に貴重な時間だった。 美佳はいつも前向きな考え方で、私を救ってくれる。 まぁ、結婚しないで生きていくとか、会うのがめんどくさいとか、そこはマネできないけれど。 私は夫と離婚したら、絶対にまた結婚したい。 好きな人のそばにいたい。 1人で生きていくなんて、淋しいから。 美佳と別れてから、会社に戻るまでの間。 美佳に言われたように、出会いの証拠をとっておくため、私は和人とのメールを保存した。 会社に着く頃、私の携帯電話に電話がかかってきた。 離婚調停の時から頼んでいる渡辺弁護士からだった。 『次ですが、6月4日になりましたので。』 思わず、「そんなに先なんですか?」と私は言った。 東日本大震災の日に中断して、延期になった離婚裁判。 何日後ではなく、何カ月という単位で動いていくとは聞いていたけれど、時間がかかりすぎている。 ただでさえ別居から2年以上も費やしているのに、なんの進展もなければ、なんの解決もなかった。 6月4日は、出廷しなくてもいいと言われた。 離婚裁判で、何回も仕事を休めるほど、暇じゃないわよ。 夫が、たった1つの判を押せば離婚できるのに、それが実現できないなんて。 それだけでも苦痛なのに、夫から生活費が送られてくるわけでもなく、離婚できていないために、手当がなにももらえないでいた。 子供達と3人の生活は、かなり苦しかった。 もがいてももがいても、水面に出ることができない。 走っても走っても、どこまでも夫が追いかけてくる。 大きなかごに閉じこめられて、出られない。 そんな夢をよく見ていた。
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