恋する気持ち

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和人と食事をして、ドライブをして帰るということが4回目の夜。 駅のロータリーで別れてから、いつものように私の携帯電話が震えた。 『今度は陽子さんの手料理が食べたいんだけど、いいかな?』 胸がドキドキした。 少し戸惑いながらも返信した。 『いいよ。』 すると、和人からすぐにメールが来た。 『じゃあ、来週は俺んちね!』 『なにが食べたいの?』 『陽子さんの得意料理で! 俺、好き嫌いないから、なんでも大丈夫だよ!』 和人は、アパートを借りて1人暮らしをしていた。 話を聞いていると、外食が多いようで、自炊はめったにしないようだった。 得意料理かぁ。 一応主婦の経験はあるから、料理はいろいろできるけど、なにがいいかなぁ。 『得意なのは、酢豚とか餃子とか、あともつ煮かな~。』 『じゃあ、餃子がいい!!』 和人は即答だった。 会った時はいつも、こんなに次から次へと会話のキャッチボールをしないのに、メールだと本当によく喋る。 シャイなところがあるから、そのせいかなと思っていた。 だから私は、ここぞとばかりに、メールでいろんなことを聞いていた。 年上の女性が好きだと話す和人に、以前つきあっていた人はどんな人だったか聞いてみた。 『11歳年上の人だったよ。』 『えーっ、すごいね~! どうしてそんな年上の人がいいの?』 『落ち着いているからかな。若けりゃいいってもんじゃないんだよね。』 『そうなんだぁ、静かな人がいいの?』 『静かっていうわけじゃなくて、なんかうまく表現できないけど、大人の落ち着きを持っている人がいいんだ。』 『大人の落ち着きか~、難しいね。』 『陽子さんは、十分に大人の落ち着き持ってるよ。』 『あはは、そう? 子供もいるからね、少しは落ち着いていないと。でもさ、そんな人とどうやって知り合ったの?』 『先輩が開いてくれたバーベキューで。』 私は興味津々で、どんどん和人から聞きだした。 『どのくらいつきあったの?』 『2年つきあったよ。』 2年つきあうってことは、そんなにとっかえひっかえじゃないのかな。 『どうして別れちゃったの?』 『その人が結婚してたから。未来が見えなくて、それで。』 ・・・え? 人妻だったんだ・・・ その人と付き合っていたというのは、和人が26歳の時だったらしい。 26歳で不倫かぁ、もったいないなぁ。
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