涙とてのひら

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「で、今日は『話があるから、放課後教室に来て』ってメールがあって。まさかこんなことになるとは……ね」 話しているうちに、だいぶ落ち着いて、涙も止まった。 「ほんとに……終わっちゃったのかな。私はもう、譲の彼女じゃないんだね」 最後は、自分に言い聞かせるように、そう言った。 私の話がひと段落したのを見て、ずっと黙っていた加藤くんが、「そうだな」と呟いた。 「この場合、終わったんだろうな。元サヤって言葉もあるけどさ。『他に好きな人ができた』ってときは、まずないな」 加藤くんは、冷静な表情で言い放った。 そんなにはっきり言わなくてもいいのに。 辛いよ……。 「はぁ……譲の好きな人って誰なんだろう。全く気付かなかったな」 譲と同じクラスだし、ひょっとして加藤くんなら何か知ってるかも……と思い、視線を送ってみる。 それを感じ取った加藤くんが答える。 「俺、高橋とそんな仲良くないし。他人に興味ねーから、俺も気付かなかった」 他人に興味ないって。 でもなんとなく、加藤くんならそう答える気がした。
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