歌姫の傷痕事情

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「やっと…ですか」 ついた最上階。 まだモーゼの気配はない。下で手 こずっているのかも知れない…。 が、大丈夫だろう。 扉を開ければ、恐怖に染まった瞳 で私を見る奴がいた。 ――ああ、こいつですか。 「く、来るな!!」 奴が向ける刃に見覚えがあり、一 気に間を詰め、刃を奴の首に当て ながら聞いた。 「これをどこで手に入れた?」 「お、お前に関係ないだろ!!」 「答えろっ!! どこで手に入れた!!」 すると奴は小さく悲鳴を上げて答 えた。間違いない。これは…。 「そうですか 時間だ。 game set…your defeat」 言い終わる頃には相手を撃ち抜い ていた。 あるのは、血で汚れていない刃。 それを拾い上げると、私は真っ白 なタオルで刀身を包み、資料を後 から来た、無傷のモーゼとあさり 、持ち帰ったのだった。
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