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今、確かに彼女は《寝てない》と言った。
オレの耳の三半規管や鼓膜が正常なら、間違いなくそう言ったはずだ。
だとすると───
「アオバくん、たまにはかっこいいこと言ってくれるんだね。
何だったっけ?・・・・・・あ。君は死なない、オレが絶対──」
「あ、ああ、ああああ!やめろー!」
オレは真っ赤になった顔を隠すようにして起き上がると、
大声を出して彼女の声を無理やり掻き消した。
さっきまで膝枕でオレの顔を見ていた莉子は、
おかしそうにクスクス笑っている。
「ったく、起きてるならそう言えよな!」
「ごめんごめん。でも、ちょっと嬉しかったよ。アオバくんの言葉」
そう言って、また少し笑った。
少しの間、二人を沈黙が包む。
そして、それを破ったのは莉子の言葉だった。
「ねえ。・・・・・・本当に護ってくれる?わたしのこと」
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