第二層 約束

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静寂が再び二人を包む。 でも、それは決して嫌なものではなくて───。 此処に来て初めて感じた、二人だけの時間。 ────なんだろう。 なんだろう、この気持ち。 オレは思った。 莉子の方を見ながら、自分自身に問いかける。 「・・・・・・アオバ・・・・・・くん」 莉子が近づいてきた。 これまで一度も見せたことの無いような、言いようの無い表情をして。 ゆっくり、ゆっくり、オレとの距離を縮めていく。 近付いて来る彼女の茶色い瞳に映っているのは、間違いなく自分自身。 眠りにつく前と同じ錯覚に陥りながら、 オレはまるで石にでもなったかのように 身動き一つせず、ただただその場に立ち尽くすばかりだった。 部屋の電気は、いつのまにか消えている。 底無しの闇が広がる中で、莉子は手の指を一本一本強く絡めて、 オレの手を握った。 そして、まるで全てを委ねるかのようにオレの身体に身を預ける。 彼女の心臓が早鐘のように打っているのが分かった。 そして自分のそれも、きっと────。 「・・・・・・ずっと一緒にいても・・・・・・いい?」 少し躊躇いがちに莉子が言う。 その一挙手一投足、動きや声の全てが、反則的に可愛かった。 「・・・・・・何言ってんだ。当たり前だろ」 赤面しながらそう言って、オレは絡めた手を少し強く握った。 彼女は驚いたように一瞬オレを見上げたが、すぐにまたオレの胸に 恥ずかしそうに顔を埋めた。 「・・・・・・ありがとう、アオバくん」 重なり合ったふたつの影。 月光だけが降り注ぐ部屋の中で、青の塔の夜は更けていった───。
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