覚悟

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*** 始まりはいつだっただろう。 そもそもの始まりは。 部活で剣道の稽古を受ける為に、 家から自転車で駆けてきたはずだった。 確かにそうだったはずだ。 昨日武道場にいた、外部コーチの名前はなんて名前だったかな。 確か、もの凄く変な名前だった気がするんだけど。 まぁ、私も人のことは言えないか。 凪なんて、あんまり見ない名前をしてるんだから。 ────帰ったら、お兄ちゃんに話してみようかな。 いつもマイペースで、面倒くさがりで・・・・・・ でも、それでいて優しいお兄ちゃん。 髪が生まれつき青いせいで、よく不良達に絡まれてたっけ。 そう言えば、お兄ちゃんはどこに行ったんだろう。 学校に行ってるはずなのに、昨日は家にも帰ってこなかったし。 携帯に連絡しても繋がんないけど・・・・・・まぁいいや。 あれ・・・・・・雨まで降ってきた。 これは多分、夕立だよね。 『ねぇ・・・・・・君』 突然、目の前に黒のパーカーに身を包み、 フードを深く被った男の子が現れた。 「・・・・・・なんですか?」 『君は、こんなところで何をしているの?』 「えーと・・・・・・実はちょっと考え事をしてて」 『・・・・・・もしかして、それってお兄さんのこと?』 「え!?なんで分かったんですか!?」 『顔にそう書いてあるよ』 男はそう言って、私の方を見ながらクスクス笑う。 『・・・・・・お兄さんに会いたいのかな?』 「べっ、別にそんなこと! ・・・・・・ただ、何してるのかなぁと思って、 ちょっと心配になっただけです」 思わず口から出た、見え見えの虚実。 しかし、次に男の子の口から出てきた言葉は、 私がまったく予想していなかったものだった。
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