プロローグ -5

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校門を後にした僕らは、手を自然と繋いだままニコニコ名物、「天国と地獄は表裏一体坂」と呼ばれる傾斜のきつい坂を歩いていた。てか、なんてネーミングセンスしてるんだ。よく浸透したものだと思う。 「おかしいよね!あさみったら本当にずれてるんだよ」 学校での出来事を笑いながら話す彼女 六車 彩華(むぐるま さいか)は、本当に綺麗だと思う。 腰の辺りまで伸びた綺麗な黒髪は、大和撫子という言葉がしっくりくるし、小ぶりな顔に、少し垂れ目なところも愛らしさを表現している。 「でね!でね!」 必死に友達の話をしてくるそんな彼女の可愛らしさとか。 あと春の陽気とか。春の陽気とか。ここ重要。 言い訳がましいけど、もろもろにやらてたんだよね僕。 「あのさ!」 「どうしたの流雨塗君?」 急に大きな声を出したからか、彼女が少し驚く。そのキョトンとした顔に萌えたのは、春の陽気のせいだ。絶対。 僕は一度深呼吸をしてから切り出した。 「家に来ない?」 何で言っちゃったんだろ? 言ってからものすごく後悔が進撃してきた。女型か?僕は完全に奇行種でした。 「…うん」 「え?」 その消え入りそうな返事に、時間と思考が僕の中で止まってしまった。 「だから…その…いいよ」 余程恥ずかしかったのか、桜の花びらのように、頬をピンクにして俯く彼女が意印象的だった。
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