プロローグ -4

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この旧日本、大和大帝国における国民的大企業といえば、その問いに誰しもが答えるうちのひとつ。 それが普丸人材派遣会社である。 そう、誰もが知る大企業の一つである。 様々な職種に対して、人材の派遣はもちろん、育成から行うことで、即戦力を提供している。 そのことから、社会からの評価が高い。その普丸人材派遣会社社長であり、僕の父でもある普丸 大志(ふまる たいし)は、今もなお普丸家の反映に貢献しているのである。 さて、何でこんなどうでもいい話をしたのかと言うと、これだ。 僕と彩華の目の前には、西洋の城を連想させる大きい屋敷。 つまり、普丸人材派遣会社の社長を父に持つ僕の家は、とにかく大きい、という理由なのだ。 繁栄の象徴というのか、無駄遣いというのかわからないが、普丸家に僕は帰ってきた。もちろん彼女を連れて。 あの後彼女は 「だから、いいよ。聞こえてる?」 と言い、顔を真っ赤にして僕の家まで無言で二人帰ってきたのだ。もちろん、僕もインフルエンザにでも罹り高熱を出したのかというくらいに真っ赤な顔をしていたのは秘密だ。 そして、彼女を部屋に通し、僕は一旦自分の部屋に戻り着替えてから、彼女を待たせている部屋の扉の前に、今僕はたっている。 「なんなのよこれは!?」 奥からは、僕を待っているであろう彼女の声がする。この豪邸にビックリしてしまったのかな。可愛すぎる。 「どういうつもりなの!?」 僕の手厚いもてなしに、恐怖するなんて斬新。 さてと、僕はゆっくりと、その扉に手をかけ中に入る。 「お待たせ、彩華」 白を基調とした部屋には似つかわしくないメイド服姿で、壁に両手両足を鎖でつながれた彩華に、僕は満面の笑みで挨拶する。 「流雨塗君!どういうつもりなの!?何で鎖なんか!この服もわけわかんないよ!」 僕に怒鳴りながら、鎖の呪縛から逃れようと必死に足掻くが、ジャラジャラと音を鳴らすだけに終わる。 「そんなに怒らないで、これから説明するからね」 あくまでも笑顔は崩さない。それが、普丸 流雨塗。
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