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「はいよ」
「あ、す、すみませんっ」
妥協を許さないような、真っ直ぐな強い瞳。
触れたら、スパッと切れそうなその雰囲気が、正直、怖かった。
私はしどろもどろになりながら、怖々と彼の差し出すノートを受け取った。
「その3。すみませんじゃなくて、ありがとう」
「は……?」
「あ・り・が・と・う」
言葉の意味が分からず間抜けな声を上げる私に、彼は、口をハッキリ開けて発音してみせる。
どうやら、彼は『すみません』ではなく『ありがとう』と言って欲しいらしい。
そう、半ばパニック状態で理解した私は『ぴきん』と固まったまま、まるでコメツキバッタのように、深々とお辞儀をした。
「あ、ありがとうございますっ!」
その私の様子に笑いのツボを刺激されたのか、彼はクスクスと声を上げて笑い出した。
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