4327人が本棚に入れています
本棚に追加
「たしか、谷田部って言ったっけ? その課長がどうしたの?」
私の質問に、待ってましたとばかりの美加ちゃんの瞳が『きらりん』と輝く。
「見たんですよ~、見ちゃったんですよ、課長の実物!」
「へぇ……」
形ばかりのメイクをチェックしながらの、私の気のない返事が気に入らなかったのか、
美加ちゃんは、手入れの行き届いた綺麗な弓形の眉根をキュッとひそめた。
「へぇって、梓センパイってば、感動がないなぁもうっ!」
両手を腰にあててそう言うと、制服のベストに窮屈そうに収まった豊かな胸を反らしながら、『プン!』と頬を膨らます。
って言ってもねぇ。
新任の課長に会ったからって、感動する要素ないと思うんですけど、私。
最初のコメントを投稿しよう!