01 再会

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男性教師に興味津々の、ウブな女子中学生じゃあるまいし。 悲しいかな。 女も28歳にもなれば、少々の事で、ハートはときめかなくなるものなのよ。 「なに、いい男だったわけ?」 苦笑しつつ、美加ちゃんが聞いて欲しいだろう質問を返す。 案の定。 美加ちゃんは『うふふふ』とニヤケた表情で、なぜか化粧ポーチからピンクの携帯電話を取り出し、『シュタッ!』っと私に差し出した。 チラリ。 視線を走らせると、 その表示窓には、携帯カメラで撮った写真が写っている。 「何? 写真まで撮ったの?」 今日から飽きるほど見られるでしょうに。ご苦労様ね。 「見て下さい~、久々のヒットですよ!」 「どれどれ」 私は、落ちかけた黒縁メガネの鼻のフレームを人差し指でずり上げて、苦笑しながら美加ちゃんの携帯の画面を覗き込んだ。
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