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「…はぁ、やっと終わった…」
織乃田のその声が聞こえて、霧島は気付く。
「……っつ…」
織乃田の額から血が垂れていたのだ。ついでに口の端も切れている。
ここで出会したのも何かの縁か…。
「……織乃田」
「あれ、霧島…」
「お前口の端切れてんじゃん…」
「あー…不意打ちつかれて…パイプとグーで殴られてさ…」
それは卑怯だな。だけどよ、そんな簡単に不意打ちされてんなよ。
こんな傷付けられて…痛み感じてんなよ……あ?
俺何思ってんだ…?
青ざめた顔で多分アホな表情をしている霧島はそう思った。
「いや…大丈夫。そんな痛くねーし…」
「……はぁ、駄目に決まってんだろ。俺ん家近くだから手当てしてやるよ…。」
「あ?いいよ……」
「いいから来いって。」
半ば強引に織乃田の手を引いて霧島は自宅に向かった。
「霧島って一人暮らしなんだ…」
「まあな…色々あってな」
「へぇ…あまり興味ないから聞かないけど。」
おい、ハッキリ言い過ぎだろ。そうだ…こいつはこういう奴なのか…。
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