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5分も経たないうちに、抜糸は終わった。傷口が大きくないから尚更だろう。今まで四角の白いガーゼで覆われていたゆうりくんの額は、一枚の絆創膏に変わった。 「無理言ってすいませんでした」 ゆうりくんを背中に乗せて先生に頭を下げると、先生は言った。「彼くらいの歳になっても、怖がる子は沢山いる。気にすることはない」と。そして、その言葉に付け足すように言ったんだ。「しかし、彼の歳程になって怖がる子の殆どは過去にトラウマがある子なんだ」と。 俺はその言葉に返事をせず、もう一度頭を下げて治療室を出た。 会計が終わるまで、再び待合室のソファーにゆうりくんを寝せて隣に腰掛ける。ふと、自分の手首の傷が目に入った。もう消えない、沢山の切り傷。まるで、自業自得だ、お前が悪い、過去を忘れさせない、そう言われているようで。
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