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ゆうりside
目を開ければ、明るいライトが視界に入り目を細めた。頭がずっしりと重い…。体温が感じた右手を見ると、ゆとくんが僕の手を握りしめながら、ベッドに顔を埋めて眠っていた。本当に、ゆとくんはそばに居てくれたんだ。
「ゆと、くん…」
繋いだ手を少し揺らせば、彼の身体が動いた。小さな声と共に。
「ゆうりくん…おはよぉ…」そう彼は僕を見て微笑んだ。
「抜糸、頑張ったね…」
そのふわりとした笑顔のまま彼の大きな手が、僕の頭を撫でる。
「ゆとくん…」
「ん…」
握られていない手を伸ばせば、小さく返事をした彼は僕の隣に横になって、僕を包み込んだ。こうして抱きしめて欲しかった。どこの場所よりも、彼の腕の中が一番落ち着くから。僕より大きな身体が、すっぽりと僕を包み込む。それが良いのかもしれない。本当に、守られている様で…
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