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“なんて美しい蝶だろう こんな蝶は見たことがない”
醜い自身とは対照的な輝くばかりのその姿。
蜘蛛はその蝶を食べてしまうことにためらいを感じた。
“もう少しこの姿を見ていたい”
そう思ってしまった。
蝶の嘆く姿を見て蜘蛛は蝶が不憫に思えた。
“この蝶の望みを叶えてやりたい 幸せな姿が見たい もっと輝く姿を見たい”
そして蜘蛛は蝶を逃がしてしまった。
蜘蛛は蝶の飛び去る姿をみて後悔した。
“あんなこと言わなければよかった。きっともう彼女を見ることは二度とないだろう。たとえ彼女が衰弱して、嘆きながら死んでしまったとしても、手元に置いておけばよかった。”
その後悔は日に日に募り、ついに食事すら手につかなくなってしまった。
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