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そんなある時、雌蜘蛛が蜘蛛のもとを訪れた。
「まあ、こんなに獲物がかかっているのにどうして食べないの?しかもあなた元気がないのね。」
蜘蛛の巣にはたくさんの獲物がついている。
「食べる気になれないんだ。」
「ふーん。じゃあその獲物、私にちょうだい。獲物が全然かからなくて困っていたの。」
「・・・どうぞご自由に。」
「ありがとう!あなたって親切ね。」
雌蜘蛛はさっそく食事を始めた。
おしゃべり好きなようで、聞いてもいないのにべらべらと身の上話を始めた。
「私引っ越して来たの。前いたところは獲物が全然こないし、その上私巣がうまくはれないからいっつも小さな獲物しか食べられなかったの。」
雌蜘蛛はどんどん食べていく。
「あなたみたいな蜘蛛がいるとは思わなかったわ。今日の私はすごく運がいいみたい。」
蜘蛛はあいづちすらしないでただぼーっとしていた。雌蜘蛛の話など聞いていないのだ。
「ねえ、別に話を聞いて欲しいとは言わないけど、ちょっとは食べたら?あなた死にそうな顔してるわよ。」
「いいんだ。腹は減ってない。」
「病気なの?」
「・・・違う。」
「ふーん。・・・ねえあなたって巣を作るのうまいのね。びっくりしちゃった。」
「そうかな?」
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