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「ガッ、キサマァ・・・マ オウサ マ・・・(てめ羽子どういうつもりだ!)」
(どうって、さすがに三連戦は可哀想だなと思っただけよ。ちゃんと演技を続けてることは褒めてあげるわ。)
(うそつけ! どうせ『ただ捕まってただけの妖精』だと思われたくなかったとかそんな理由だろ!)
(いいからさっさと消えなさい)
(クソッ! 分かったよ)
そういってトカゲ男は空気にとけた・・・かのように見えるように認識阻害の魔法をかけた。
その様子を呆然と見ていた青年は我に返ると妖精のもとに駆けつけ拘束をとく。
「助けて頂いてありがとう御座いました。危うく怪しい儀式の生贄にされてしまうところでした。」
「いえ、いいんですよ。それに先ほどの様子も見れば助けは必要なかったみたいですしね。」
「そんなことはありませんよ。原理は分からないのですが、あの祭壇には起動中は転移以外の魔法を封じる力がある様なのです。貴方が注意を引いてくれなかったら祭壇から降りるチャンスは得られませんでしたし・・・。おそらく貴方に三体で挑まなかったのは私を見張るためだったのでしょう」
(よくもまあそんな嘘がペラペラと・・・)
(うるさい黙れ)
「そうだったんですか。 なら命をかけた甲斐があったというものです」
「それにしても、リザードマンを二体同時に相手するなんてお強いんですね」
「僕自身驚いてるんですよ。リザードマンは中級とはいえ下位の魔物だから何とかなったんですね。帰ったらいい自慢話になりまよ。」
「そういえばこんな森の奥で一人でなにをしていたんですか?」
「僕の父が少々特殊な病にかかってしまってね、その特効薬の原料になる花がこの森に咲いてるらしいんです。もう二日も探しているんですが見つからなくて・・・」
「それはココの花のことですか? 確か魔力が枯渇するタイプの病気や呪いに効果があったはずですよね」
「ええ、とても珍しい植物で月夜に淡く光る白い花をつけるそうです。夜なら簡単に見つかると思ったんですが・・・」
「それなら私が捕まっていた祭壇を調べてみるといいですよ。リザードマンたちが魔力の篭った花や木の実を集めていたのできっとあるはずです。」
「本当ですか!? 」
それを聞いた青年はきれいに積み重ねられた植物の山を嬉々として崩し始めた。
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