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それから暫く、草軽電気鉄道やアプト線時代の横軽区間についての質疑応答が繰り返される。
その過程の中で若者たちは、一式翁の様々な体験談を聞く事が出来た。
そして一式翁は、部長の大谷市江(おおたに=いちえ)と奥山一也(おくやま=かずや)から、草軽電気鉄道の遺跡が軽井沢町内に幾つか健在である事を教えてもらうに至る。
「なんと!
…北軽井沢の駅舎はてっきりスナックになったとばかり…」
「今は資料館としてきちんと整備されています。
一部ですがホームと線路が復元され、デキ12形機関車の実物大模型が展示してあります」
伊達に部長を務めてはいないのだろう。市江の説明は本職はだしである。
続いて奥山一也も口を開いた。
「軽井沢駅の近くには、実物のデキ12形機関車が保存されています」
「…そこでちょっとあったんだけどね、奥山?」
「う…」
市江にそう突っ込まれるなり、一也は何故か言葉を失ってしまう。
どうやら美千と市江と一也は、昼間達哉たちと別行動を取っていたらしかった。
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