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時計の針は午後1時を既に回っていた。
沢庵和尚…本名澤田庵が共通の知人という事も手伝って、彬と舞そして一式翁の三人は急速に親交を深めている。
やがて三人が横川駅から少し離れた所にある、安心寺という小さなお寺に到着する頃には、彬と舞は一式翁を一式さんではなく機長と呼んでいた。
理由は簡単、一式翁がそうしてほしいと二人に頼んだからである。
因みに一式翁は二人をそれぞれ名前で呼んでおり、両手には駅前のおのぎ屋の袋を提げていた。
袋の中身が何であるかは言うまでもない。
「機長って事は…」
「はい。飛行機の操縦免許を所持しています」
そう言いながら二人に飛行機の操縦免許を見せる一式翁。
彬と舞は内心、だから機長はお寺の石段を自分達と同じペースで上れて、しかも全く疲れている様子がないのだなと大いに納得する。
それを知ってか知らずか一式翁は言葉を続けた。
「こちらの和尚さんは後輩の御弟子さんでしてね。
この時間でしたら家に居る筈です」
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