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一式翁はそう言うと二人を促し、簡素な家の玄関先へと歩いて行く。
やがて一式翁が呼び鈴を押すと、しばらくして玄関の戸がガタガタと開き、60歳前後に見える和尚さんが姿を現した。
簡素な着物を纏った中肉中背の和尚さんは、一式翁を見るなり手を合わせながら口を開く。
「遠路遥々ようこそゆうか…」
「これこれ、今はその呼び方は勘弁して下さい。
紹介します安覚(あんかく)和尚。
お友達の安芸彬君と鶴来舞さんです」
何故か安覚和尚の言葉を遮りながら一式翁。
彬も舞も、一式翁が何故そんな意地悪らしい事をするのかを疑問に思ったのだが、やがて大人…というより年寄りの事情なのだと察しそれを口に出す事はなかった。
やがて安覚和尚が口を開く。
「これは失礼致しました。では一式機長、御用件は何でしょう?」
「あの場所に立ち入るお許しを頂戴したいのですよ。お許し願えますかな?」
「何をおっしゃるかと思えば…
GHQ鉄なら即座に叩き出しもしますが、皆様でしたら大歓迎ですよ。
どうぞこちらへ」
安覚和尚はそう言って微笑すると、三人を促しどこかへと歩き出す。
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