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一式翁の回答はつづく。
「続きまして昭和10年。昭和8年から9年にかけて乗った区間は省略致します。
東海道本線の三ノ宮から東京。
省線電車(山手線)の東京から上野。
東北本線の上野から大宮。
高崎線の大宮から高崎。
信越本線の高崎から軽井沢。
草津電気鉄道の新軽井沢から三笠。
兵学校を卒業してからの分は、まず常磐線の上野から…」
滑らかにそう答え続ける一式翁と、それを苦笑しながら見守る陸攻とくるみと友美。
やがてようやく一式翁が答え終わると、美千が苦笑しながら口を開いた。
90年以上の半生の中で乗った事のある路線を片っ端から挙げられた訳であるから、美千でなくとも苦笑するであろう。
「で、では第3問……
あなたが鉄道関係でできるすごい事を、ひとつ披露してください」
今度は流石の一式翁も速答という訳には行かず、腕組みをしながら考えて始める。
すると友美が、小悪魔的な微笑みを浮かべながら口を開いた。
「タンメー、鉄道関係の凄いことならあの話があるじゃない。
ほら、昭和9年に新京阪と省線の並走区間で、P-6の車内から東京行き超特急燕に…」
「!」
一式翁の表情が文字通り激変した。
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