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「ふむ…
細部へのこだわりがもう少し欲しい所だな。
一号棟の煙突がまるごとはしょってあるじゃないか。
惜しい、手荒く惜しい。嵐さんだったらもっととことんまでやるぞ」
ニ棟のうち横川駅寄りにある側の建物…旧丸山変電所一号棟の屋根を見ながら一式翁。
丸山変電所は明治45年、並み居る幹線の中でいち早く電化された横軽区間に電気を供給していた重要施設であった。
横川駅寄りの建物が一号棟、軽井沢駅寄りの建物が二号棟とそれぞれ呼称され、一号棟が機械室二号棟が蓄電池室であったという説が有力である。
一式翁の記憶によれば一号棟の屋根には換気用の煙突が幾つもあった筈なのだが、それが綺麗さっぱり見当たらないのだ。
横軽区間のアプト線が現役であった頃を知る一式翁だけに、両棟の復元を手掛けてくれた人々にもうひと頑張りしてほしかったのかもしれない。
一式翁の勝手な言い分といえば確かにその通りではあるのだが。
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