選べない願い

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 実際、俺はそういう経験をした事がある。 「助けにいかねぇと」  想いを言葉に出す事によって、逃げ出そうとする自分の身体を縛りつけているのだ。 「ッ!!行かせないわ」  両手を広げ、俺の前に立ち塞がる凛。  苦渋の決断だったろう、それは顔を見ていればすぐ分かる。  いつだって組織の為を思って行動してきてくれた。  故の判断。  確かにそうだ。  俺や凛、他の仲間達は同じ世界の住民。同じ人間。  だがゴランは違う。  彼はこの世界の住民。  システムによって生み出された存在。  謂わば仮想の命で、それもモンスターでゴブリンだ。  それでも、 「やっぱりゴランは仲間なんだよ」 「叶えたい願いがあるんでしょ!?それでも行くつもり?」  その言葉に心臓がトクンッと一回脈打つ。  答えは簡単だ。  考えるまでもない。 「なぁ覚えてるか?俺達が初めて出逢った頃の事」  凛は突然のフリに驚いた表情をしながらも首を一回だけ小さく縦に振った。 「俺、凛の事を見捨てようとしただろ?本当はこの世界に来る前から決めてたんだ。このゲームは絶対に一人で攻略しようって。だってよぉ、もしこの世界で仲間って呼べる奴を作ってそいつが死んだりでもしちまったらさ、俺はどうすればいいんだよ。叶えたい願いが二つになっちまうじゃねえか」
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