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「一度会えば、アイツも気が済むだろうから、悪いけど今度付き合ってやってくれる」 なんとなく、面白くない。 “アイツ”とか、“付き合ってやって”とか。 節々に感じる、上手く言い表せない、律の男臭さが。 私の知らない律が、そこには居る。 「……別に、いいけど」 「サンキュ」 こっそりふて腐れる私に気付きもせずに、律は嬉しそうに小さく、そして柔らかく笑った。 恋をすると、人ってこんなにも変わるんだろうか。 誰かを好きになった記憶は、もうとうの昔で思い出せない。 思い出したところで、叶った恋などないし、いつもどこか卑屈だったから、変わりようがなかったけれど。
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