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「悪いな。せっかくの休日に、付き合わせて」 「いいよ、別に。特にこれといって予定もないし」 「だよな」 即座に納得してみせる律を横目で睨む。 私の刺すような視線に気付いていながら、律は素知らぬ顔でハンドルを握ったまま、前を見据えた。 日曜日。 律の彼女である“佳奈”の、私に会ってみたいという、達ての願いを叶えるため、私はこうして駆り出されている。 何が悲しくて、幼馴染みのデートに付き添わなくちゃならないのか。 リア充っぷりを見せつけられて、吐き気を覚えて帰ってくるのがオチだ。 そうと分かっていても断らなかったのは、私が“佳奈”に興味があるから。 律はどんな女の子を選んで、その子をどんな風に扱うんだろう。 見たいような、見たくないような……恐いもの見たさの好奇心。 「……私、仲良く出来るかな」 「さあ。無理なんじゃない」 さあ、と濁したわりに、次の瞬間にはきっぱり無理だと言い切る律に、眉をひそめる。 「それ……私、行く意味あるの?」 「そりゃ、ミジンコ程度には」 「なにそれ、ちっさ!」 仲良くなれないと分かってて会うなんて、そんな無駄にエネルギー使うこと、したくないのが正直な感想だ。 だけど、隣で楽しそうに笑う律を見ていたら、「まぁ、いっか」と思ってしまう。 いつも律にはなんだかんだと助けられっぱなしだから、たまには恩を売っておかないと。
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