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「やだなー、そんなことないですよ!サチさんの知ってるりっちゃんのこと、いーっぱい教えてください」
いたずらっぽく笑って言う彼女のおかげで、ふっと肩の力が抜けたみたいに心は軽くなる。
明るくて、気配りもできて……性格まで完璧。
律にはもったいないくらい、いい子だ。
「え、えーっとね。律ってば、小さい頃は本当に女の子みたいで……いたっ!」
期待に応えようと話し始めた途端、頭を容赦なく叩かれて言葉が途切れる。
「アホか。いらんこと言うな」
「なによ、ホントのことでしょ。暴力反対!」
「暴力じゃなくて、教育」
キッと睨み付ける私と、静かにたしなめる律の間に、見えない火花が散る。
なによ、彼女の前だからってカッコつけちゃって。
見慣れない“男”の律が、どうしても面白くなくて、心の中でそんな悪態を吐く。
「ホント仲良しですね、2人とも」
そんな中、くすくすと笑う佳奈さんにハッとする。
いくら幼馴染みでも、例え女扱いされていなくても、律が私と仲良く話していたら、佳奈さんだって気分よくはないだろう。
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