一、 桐壺

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御所の後宮、つまり大奥と同じような場所には、この時にはお妃が二十数名とそのお世話や下働きの女が数百名いた。その中で帝の一番のお気に入りが桐壺の更衣であった。 「帝、今夜は誰をお呼び致しましょう。」 「もちろん、桐ちゃんじゃ。」 「い、いやしかし、そう毎晩桐壺の更衣ばかりでは他のお妃様が怒りますよ。」 「ええい、うるさい!余は桐ちゃんが一番好きなのじゃ!桐ちゃんを呼ぶのじゃ!」 一夫多妻制を平和に過ごす最低限のルールは、妻の順位をきっちり守る事と、夜は平等に一緒に寝る事である。
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