一、 桐壺

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ペタペタ、ペタペタ、 自室から帝の寝室までの廊下には、他のお妃の部屋が並んでいるのだ。その部屋の前を通るのだから、バレバレであった。 「キーッ!おのれ、今夜も桐壺かっ!帝も困った人じゃ。あんな身分の低い家の女のどこがいいのやら。」 「そうよね奥様、あの女ムカつくわよねぇ。」 「本当よね!あんまり悔しいから、廊下や橋に汚物をバラまいてやったわ。」 「あら、いいわね。あの女の着物も台無しよね。ほほほっ。」 こんな嫌がらせが毎日のように繰り返されていた。
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