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歩みを進めるごとに、地に落ちる葉が割れ、風が吹く。
「大官が呼んでいるが」
青く澄んだ眼と、金色に輝く眼が交差する。
「左門の山は、もうじき人間の手に落ちる……。猪達にこちらに(右門の山)に住めといったところで、人間を襲うだろう……。あいつらと話し合いをしたところで止められん」
「では他の奴らも見殺しにするのか、お前は」
「そうは言ってないだろ。話し合いの程度によって決める」
二匹の狼は走り出せば、その場所から姿を消した。
一方は白銀の毛並みを纏い金色に輝く眼をもち、一方は黒い毛並みを纏い青い双眼をもつ、二匹の狼。
目指すは、対局に位置する左門の山。
白銀の狼が眺めていた平地はどんどん遠ざかっていった。
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