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「逃げるに限る!じゃあな、にーちゃん。もう二度と会うことはないだろうぜ!」
沖「あっ、待て!!」
「待てと言われて待つ奴はいねェーよ!」
男は背を向け、凄まじい速さで走り出した。
沖田はすぐに追いかけたが、男に追いつくことが出来ない。
沖「待てって言ってるのが聞こえないの!?」
「あ~聞こえてるよ。アンタの声が耳の奥までビンビン響いてら。あのな~、今夜なんだぜェ?近所迷惑ぐらい考えろ、バカヤロー!」
沖「君が止まればすぐに大声なんて止めてやるよ!」
「それは勘弁。アンタに捕まったら一貫の終わりな気がする」
男が路地に入り込んだため、沖田も後ろから追いかけた。
「あらよっと」
路地には多くの物が置いてあり、人が通る様な道ではなかった。
男はそれらを身軽に飛び越えている。
沖「ちょっと…待ってって‥」
「無茶すんなって。怪我するぞ」
沖「君を捕まえるなら少しぐらいの無茶するよ」
「俺、アンタに死にもの狂いで追いかけられる様なことした?全く身に覚えがねェんだけど」
沖「自分の胸に聞いてみたら?」
男は立ち止まり、考えるような素振りをした。
そしてポンと手を叩き…
「あ~、アンタ、寺小屋で一緒に学んでた龍太郎君?花瓶を割った罪擦りつけたこと、まだ根に持ってんの?そんな~昔のことだろ?もうお互い大人なんだから、水に流してくれたって…」
沖「僕は龍太郎って名前じゃないんだけど!」
「あれ?違った?だったらアンタ誰だよ。俺、知らない奴に追いかけられてるの?うっわ~、怖っ!何が何でも逃げてやる!」
男は走る速度を速めたが、沖田はなんとか後ろを追いかけた。
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