俺のカメラと、女子高生

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 俺はとりあえず、華絵の買い物に付き合った。華絵はとにかく重い物を俺に持たせ、自分は手が空いたまま買い物をしている。本当に人使いが荒い。  華絵が買ったものは、自分の服、キッチン用品のコーナーからは出刃包丁、インテリアコーナーからは全身鏡5枚、枕元に置く和風のスタンドライト。服と包丁以外は大きいものばかりだ。鏡は華絵の家に送ってもらうとしても、それでもスタンドライトが重い。これはちょっと高い食事を奢ってもらわないと、割に合わない。  「華絵、買った物大きい物は流石の俺でも持って歩けないぞ」  「ああ、大丈夫だよ。全部実家に送るから」  「はぁ?実家?」  「頼まれたんだよ。実家の両親に。もちろん着払いで」  「じゃあ、お前の服はついでに買ったのかよ。その封筒から出した金は、実家からの?」  「もちろん。俺がそこまで金持ってるわけないじゃんか。服は自分の金で買った服だ」  封筒には1万円がたくさん入っていた。これが自分の小遣いだったら末恐ろしい・・・  「あっそれから、これが今日のお礼だ」  華絵が俺にお礼として出してきたものは、財布だった。  「お前の財布、長く使ってて、もうボロボロだろ。だからお前の好みに 合わせて買ってみたんだ。どうだ?」  その財布は確かに俺の好みだった。色はシックな茶色で、小銭入れが外側に付いている。ファスナーを開けると、カードの収納がたくさんある。お札もたくさん入りそうだ。まぁ、入れるお札はそんなに無いけど。  「いい財布だな。大事に使わせてもらうよ。でも、高級じゃなかったか?」  「いや、3980円だった。8980円が」  「そうか、8980円が3980円か。値下げか」  俺の労働は3980円か。元値は高いけど。
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