俺のカメラと、女子高生

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 「気持ち悪いって。俺が風景を撮ることの何が気持ち悪いんだよ」  「急に風景の写真に目覚めたのが気持ち悪い」  まぁ、いきなり風景を撮ってみたいってなればそうなのかもしれない。  「モデルなら俺がいるじゃないか。風景じゃなくても」  ぼそっと声が聞こえたけど、聞こえないふりをした。  俺は新しい財布にお金を入れた。残った水を飲み干し、俺達は店を出た。 後はこれといった用はなくて、入口に歩いていた。しかし、入口に着いた瞬間、 俺は目を疑った。入り口前には俺のカメラを持った女の子がいた。  「君、ちょっといい?そのカメラの事なんだけど」  俺は女の子に走って近づいた勢いで、女の子を驚かせてしまった。  「そのカメラ、ちょっと見せてくれない?」  女の子は、はい、と、応えると、カメラを俺に渡した。俺は電源を入れて中のデータを見た。その中のデータは俺の撮った写真だった。  「このカメラはどこで手に入れたか教えてくれない」  女の子は通学路で拾ったと言っていた。俺はどうしてそんなところでカメラを置いたのか、思い出せなかった。  「とにかく、カメラありがとう。返してくれるよね?」  女の子は残念そうな顔というか、返したくないというか、複雑な顔をしていた。  「あっ、あの、すいません」女の子は俺の袖をつかみ、写真を一枚くださいと言ってきた。  「いいけど、どの写真が欲しい?」
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