ヒトメボレ

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はぁ…と溜め息をつく私は、高校2年生の春野 琴都音(ことね)。    私は吹奏楽部に入っている。でも、私は幽霊部員で、部活というものに魅力を感じない。だから入部してから私は、部活には行ったことがない。    今日は夏休みの課題の提出のために学校に登校した。クラスメイトの夏休み中の話を聞けるのが、今日の唯一の楽しみだ。    登校中の暑さには参った。朝なのに気温が23℃もあって、その中を歩いているだけで汗が流れてくる。ここ何年かは、熱中症対策でカバンに水筒を入れている。まぁ、登校中に1本飲んでしまうくらいに暑い。こういう時に限って、私の友達が後ろから抱きついてくる。    「琴ちゃ~ん、おはよ~う。今日も暑いね~」     「だったら、抱きついてこないでぇ」      鈴音 風。幼馴染で、幼稚園は違うものの、家の近所で、私達はいつも遊んでいた。公園でブランコや滑り台、砂遊び。昔から控えめだった私は、風ちゃんにリードされていた。 「琴ちゃ~ん、次はジャングルジムで、追いかけっこしよう~」  「風ちゃん、ジャングルジムで追いかけっこ?二人でやっても面白くないよ~」 「そんなの、やってみないと分からないよ~」  昔からこんな感じで私達は何をするにも一緒だった。  そして、小学校は一緒の登校班だった。中学も同じ学校だった。  中学3年の時、私達は高校も同じ高校を受験しようね、って、約束した。  その時も風ちゃんは私に抱きついていた。
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