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ー2×××年。
社会の形がガランと変わった都市。
そんな都市に影が忍び寄るなか、一人の少年は世界を変える旅に出たー。
「くそっ!!」
逃げ込んだ先は高い壁ー…行き止まりだった。
スキルを使うにもこんな場所で使ったら自分の命も危うい。
錬也は頭を働かせるが、影はどんどんと迫って来る。
(残ってるマテリアルは……風と……火)
魔法陣を作る時間はあるわけないし、科学変化で魔石を作る余裕もない。
(人探ししてんのになんでこうなるんだよっ!!)
科学技術が凄まじく進んだ都市。
だがその中にも廃れ滅ぶ小さな町。
そんな町には影が現れる。
その影を滅するのが錬也の通う学校ー…組織だった。
(どうする……このままじゃどちらを選んでも死だ……)
焦りを感じつつ、いい案はないかと必死に考える。
15で選んだこの道を終わらせたくなかった。
「俺のイジをなめんなよ……」
心を落ち着かせ、意識を集中させる。
錬也の体は少しずつ炎に包まれていく。
がばっと後ろを振り向くと影は目の前で口を大きく開けていた。
「フレイムタロットー」
すると真横からいきなり影がもう一体現れる。
その影を避けるのでいっぱいでスキルの発動ができない。
(うそだろ!?)
計算は全て狂い、逃げ惑うしかない。
あっと思った時にはバランスを崩し体制が崩れる。
影は勢いよく錬也に襲いかかる。
反射的に目を閉じると聞き覚えのある声が耳をくすぐる。
「ライトニング・レイッ!!!!」
はっと目を開けると風になびく髪をうっとうしそうにしている一人の少女がいた。
「り、莉菜……!?」
「あんた随分と弱くなったのね。あんたがこんな所で何してるの?」
「お前探してたんじゃボケッ!!ーっ」
久しぶりに見た幼馴染みの顔を見て安心したのか意識がふっと遠くなる。
立ち上がろうとした体がグラリと傾く。
莉菜がその前に錬也の体を支える。
「……本当何にも変わってないなぁ……」
嬉しそうな微笑みを浮かべ、莉菜は錬也を担ぐようにしてその場を後にした。
………end。
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