すとん

7/8
前へ
/8ページ
次へ
―総司目線 「うっはあ、広いねえ。」 「そうかなあ?初めてだからそう感じるだけで、慣れたらそうでもないもんだけど・・・」 「そう?」 こんな他愛もない話を杏としながら廊下を歩く。 俺たちが一番最初にあの広間を出たので、すれ違う隊士などはいない。 「んん?おお!ここが厨かね?」 「ああ、そうだよ。でも杏は使わないだろうね。料理は毎日6番隊隊長の源さんがしてくれてるんだ。こんど紹介するから挨拶しなね?」 「げんさん。よし、わかった」 厨を通り過ぎても杏は屯所に興味深々だ。 別にそんな変わったつくりでもないだろうに。 「あ、ここだよ、俺の部屋。」 「おお、なんともまあ分かりにくい外見。」 いやまあそりゃほかの部屋と変わらないだろうけどさ。 でも一応1番隊隊長なので、俺の部屋は角部屋だ。 どちらかというと方向音痴な俺でも一発で覚えれた場所。だから杏でも覚えられるだろう。 「おー、意外にも片付いている!」 「意外って・・・」 障子を戸惑いもなく開け放った杏の、俺の部屋を見ての感想は「意外にも片付いてる」だった。それはそれでどうなんだろう。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加