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―総司目線
「うっはあ、広いねえ。」
「そうかなあ?初めてだからそう感じるだけで、慣れたらそうでもないもんだけど・・・」
「そう?」
こんな他愛もない話を杏としながら廊下を歩く。
俺たちが一番最初にあの広間を出たので、すれ違う隊士などはいない。
「んん?おお!ここが厨かね?」
「ああ、そうだよ。でも杏は使わないだろうね。料理は毎日6番隊隊長の源さんがしてくれてるんだ。こんど紹介するから挨拶しなね?」
「げんさん。よし、わかった」
厨を通り過ぎても杏は屯所に興味深々だ。
別にそんな変わったつくりでもないだろうに。
「あ、ここだよ、俺の部屋。」
「おお、なんともまあ分かりにくい外見。」
いやまあそりゃほかの部屋と変わらないだろうけどさ。
でも一応1番隊隊長なので、俺の部屋は角部屋だ。
どちらかというと方向音痴な俺でも一発で覚えれた場所。だから杏でも覚えられるだろう。
「おー、意外にも片付いている!」
「意外って・・・」
障子を戸惑いもなく開け放った杏の、俺の部屋を見ての感想は「意外にも片付いてる」だった。それはそれでどうなんだろう。
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