最悪な気分で出会ったあの娘

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僕の行動範囲はとても狭い。 自宅マンションから件の駅は徒歩5分だし、お気に入りの公園は徒歩10分。 ゆっくりと公園内に足を踏み入れる。 ここいらではなかなかに大きな公園で、大きな池を囲んで緑あふれる空間となっている。 小さな子供を連れたママたちが笑やっている。 気取った小型犬を連れた奥様もお散歩中だ。 トランペットの練習しているをお兄さんもいる。 僕はその光景を横目で見ながら、ずんずんと奥に入っていく。 僕のお気に入りの場所を目指して。 そのお気に入りの場所は、公園の隅の方。管理棟があるすぐ裏手だ。 ベンチもある。 ここからは遠目だが噴水も見えるし、風の通りもよく気持ちの良い場所なのだが、建物の影に隠れてか、結構穴場なのだ。 誰もいないことが多い。 僕は勝手に、このベンチを僕の指定席と呼んでいた。 しかし今日に限って先約がいた。 高校生ぐらいの女の子だ。 その子は、びっくりするほど派手に泣いていた。
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