†義兄と義妹(アニとイモウト)†

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「実は、“禁断の聖杯”と呼ばれる品を見つけて欲しいのです。」 「禁断の聖杯?」 「ええ。貴方は、“闇の神器”と呼ばれるものを知っていますか?」 たしか、エストがそんな名前を口にしていた。 「名前くらいは、知ってます。」 「闇の神器は強力な力を持った魔導器で、禁断の聖杯というのは、元々そこにいるネモの持ち物なのです。彼は、ロストールに封じられていた聖杯を取り戻そうとゴブリンを操ってそれを盗ませたのですが、フフ、彼らに裏切られましてね。」 「うるさいっ!」 ネモは、バツが悪そうにフイッと横を向く。 「じゃ、そのゴブリンから聖杯を取り戻せばいいんだな?」 チャカの言葉に、オルファウスは難しい顔で答える。 「まぁ、そうですが…事は単純ではないのです。実は、ネモの同僚で“アーギルシャイア”という魔人も、聖杯を狙っているのです。彼女は、妖艶な女性の姿をしていますが、気紛れで残忍です。すでに、彼女の手によってミイスという村が1つ焼き払われてしまいました。」 「とにかく、アイツの物になる前に取り返すんだ。アイツは、欲しいものを手に入れるためなら村を焼き払う事なんて、どうとも思わないぜ。」
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