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「また、出てきたか。おい、さっき教えたことを実践してみろ。」
「分かった。」
昔から物事の飲み込みは早いほうだ。レムオンが言ったように型を変えると、自分で思ったより攻撃の威力が上がった。
「ほう?貴様は、馬鹿ではないようだな。」
「ありがとう、思ったよりイイカンジになった。」
ジルは、素直にニッコリ微笑んだ。
『コイツ、どうしようもないお人好しだな…。』
顔にこそ出さなかったが、嫌味を感謝の言葉で返されて、内心妙な気分だ。
もうすぐ、森を抜ける。チャカ達には、追い付けなかったようだ。急がないと…!
「ジル、いよいよ村に入る。お前の名前で反乱の中止を呼び掛けるんだ。」
「分かった。」
レムオンの言葉に、ジルは頷く。
「それは、困りますね。苦労して煽った反乱です。是非ともおこっていただかないと…。」
「!」
「?!」
不意に、木陰から声がした。見覚えのある顔…ボルボラの手下に教われたとき、助けに入った商人だ。
「それに、もう遅い。すでに騒ぎは起こり、ボルボラは、死にました。」
「貴様が王妃エリスの密使、石火のフリントか。ボルボラを始末したのは、貴様だな?」
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