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王都に着き、真っ先に連れて行かれた先は王城だった。高台に築かれた、荘厳で美しい城。
「今からロストール王妃エリスに会う。ファーロスの雌狐の異名をとるほどの謀略家だ。とにかく、気を付けろ。」
「王妃は、そんなにすごいのか?」
「奴は、七竜家の筆頭ファーロス家の出だ。ファーロス家は、権勢のある家柄でな。今の王セルモノーも、エリスを妻にして王位に就いたほどだ。しかし、実家の力など、謀略に比べれば大したことはない。あの女が、謀略で二つの国を潰したお陰で、今や大陸の“分断の山脈”以南は、すべてロストール勢力化だからな。」
レムオンは、忌々しそうに更に言葉を続けた。
「国内でも、貴族の力は削がれ、王権強化と中央集権化が進められている。そして、実の娘ティアナをファーロス家当主の息子と結婚させる気だ。」
「ファーロス家の力が強くなるんだな?」
「そうだ。俺は、貴族を率いてエリスに対抗しているため、奴は俺を消そうとやっきだ。ノーブルの反乱もその一環だ。この先、どんな罠が控えているかもわからん…。では、行くぞ。決して余計な動きはするなよ。」
「分かった。」
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