†黄金色に輝く畑†

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「何を馬鹿なことをっ!こんなどこの馬の骨かも分からぬ女を…―!」 「陛下、エリエナイ公の妹君をノーブル伯に任命することを認めては?事情が事情です、正式な任命は追って処理するとし、今、ここで叙任されてはいかがでしょう?」 ノヴィンの言葉を遮ったエリスが、国王に進言する。 「…そうだな。ジル・リューガ。そなたにノーブル伯の爵位を授け、特別に白竜騎士にも任命する。これからも、王家の為に尽くしてくれ。」 国王セルモノーのやる気ない声が響く。 「ありがとうございます。今後も、リューガ家はより一層の忠誠を王家に誓いましょう。」 「…なにをしらじらしい。」 「ノヴィン殿、何か?」 「なんでもない。」 レムオンが、滑らかな仕草で貴族式の礼をする。ジルも、それに習ってぎこちなく頭を下げた。 「ねぇ、レムオン!…兄さん。」 「何だ?」 睨まれて、慌てて『兄さん』と言葉を付け加えたジル。 「あの、話があるんだが?」 「屋敷に着いてから聞こう。馬車に戻るぞ。」 謁見の間を後にした二人は、早々に城を後にする。“妹”の ジルが、ボロを出す前に引き返さなければ。
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